活動レポート
「講演会」活動レポート 実施の様子一覧
かんきょう講演会「すぎなみの野鳥・昆虫・クモ~杉並区自然環境調査(第8次)報告会」

講演会の様子
開催日時:令和7年9月28日(土) 14:00~16:30
開催場所:IMAGINUS(イマジナス)体育館
講 師:東京蜘蛛談話会 会長 新海 栄一 氏、日本トンボ学会 副会長 須田 真一 氏、日本鳥学会 会員 中村 忠昌 氏
参加人数:83人
杉並区自然環境調査(第8次)から見える現在地
本報告会は、1985年から継続される国内有数の自治体調査「杉並区自然環境調査(第8次)」の結果を共有する場として開催された。クモ類、昆虫類、鳥類の各専門家から、市街化や地球温暖化、外来種の侵入といった現代の課題と、それに対する生物相の変化が報告された。
調査では、かつて見られた在来種の減少や絶滅が危惧される一方、近年の環境意識の高まりや湧水の回復によるトンボ類の復活、また温暖化に伴う暖地性種の北上や、猛禽類の定着といった新たな兆しも確認された。
特に善福寺川周辺や観泉寺などの緑地が多様性を支える拠点として重要であることが再認識された。
一方で、過度な清掃による落葉減少や乾燥化、アライグマの影響など、管理手法や新たな外来種による課題も浮き彫りとなった。
今後は、これらの基礎データを基に、市民参加型のモニタリングや戦略的な保全活動を継続し、大都市における生物多様性の維持・再生を目指すことが不可欠である。(普及啓発委員:H.W)
過度な整備による乾燥化と土壌性種の減少

整備による落葉清掃や乾燥化が、土壌性のクモの減少を招いている。柏の宮公園等の事例に見られるよう、多様性維持には観泉寺や済美山のような「手つかずの自然」や、餌資源となる落葉の適切な管理が不可欠である。
都市化による衰退と近年の回復傾向

明治以降の急速な市街化で昆虫相は激減したが、近年は環境意識の高まりや湧水回復により、第4次調査(2000・2001年度実施)以降トンボ類等に復活の兆しがある。しかし依然として流水性種は不安定で、戦略的な保全と再生が求められる。
温暖化による分布拡大と外来種の侵入

温暖化の影響でナガサキアゲハ(昆虫類)、スズミグモ、マルゴミグモ(クモ類)等の暖地性種が急増する一方、ムネアカハラビロカマキリ(昆虫類)、マダラヒメグモ、シロホシヒメグモ(クモ類)等の外来種侵入も顕著である。
定期的調査により在来種との置き換わりが判明しており、継続的なモニタリングが極めて重要である。
種ごとの明暗:猛禽類の定着と身近な鳥の激減

オオタカやエナガが増加する一方、営巣場所の減少によりスズメやツバメは最盛期の1/5にまで激減している。都市環境の変化により、かつては一般的だった身近な鳥たちの生息基盤が揺らいでいる実態が明らかになった。
外来種対策の必要性と市民参加型調査の提案

カイツブリ等の減少要因として外来魚やアライグマの影響を指摘。これらへの直接的対策に加え、5年ごとの専門家調査を補完する「市民参加型の情報収集システム」を導入し、詳細なデータを蓄積すべきだと提言した。


